「若林さんのレッスンは薬効の解説がわかりやすく、予想以上にサイエンティフィックな解説で驚きました」(茂田)

茂田氏 茂田)植物、ハーブには色や香りのほかに薬効という側面があると思いますが、若林さんのレッスンをはじめて拝見した時、その薬効の解説がとてもわかりやすく、予想以上にサイエンティフィックで驚きました。たとえば薬膳などは、"おばあちゃんの知恵袋"的なノウハウと言われたりしていて、どちらかというと経験則に基づいて体系化されたものですよね。今年、若林さんとご一緒するにあたって目を通しておこうとハーブ関連の書籍をいろいろ読んでみましたが、実際のところ、ああいうところに出ている薬効は、ハーブが含有している成分から定められたものなのか。それとも、ものの本によればハーブは魔女の文化から入ってきたので、魔女がこういうハーブでこういう病を治した、といったような東洋医学のそれとよく似た経験則から、効能が確認されてきたのか。そのあたりについてはどうなのでしょうか?

若林)これは、私のレッスンでの解説がなぜサイエンティフィックなのか、ということとも関連しますので、まずは日本にハーブが入ってきた経緯からお話する必要があるかと思います。日本では、ハーブが注目されるより先に、アロマセラピーという言葉から、まずはエッセンシャルオイル(精油)の存在が先行して浸透しました。そしてエッセンシャルオイルの善し悪しとなると、成分評価というところに行きあたります。エッセンシャルオイルの中にどんな化学物質がどれくらい含まれ、どういった作用を及ぼすかといったケミカルな説明は、わかりすいし日本人はとても好きですよね。ただ、エッセンシャルオイルは本来ハーブの一部分で、ハーブから抽出されるものなので、後になってやっとハーブにスポットライトが当たりだしたという感じです。そしてハーブを学ぶ際にもやはり「どんな成分によってどんな効能が期待できるのか知りたい」というニーズは非常に高いです。ただ、ハーブはいろいろな部分が加味されたもので、情緒や感情、精神面という観点からいえば、茂田さんがおっしゃられたような西洋の魔女が行った療法の影響が色濃く残っています。バッチ博士のフラワーレメディ(英国の医師で細菌学者でもあった エドワードバッチ博士 による、花のエネルギーを水に転写してエッセンスとして取り込む療法)などもそうですね。現代科学では証明ができない療法のひとつですが、長い歴史があり、単にハーブの中に含まれる成分による云々だけではない部分も発達して、ひとつの分野として成立しています。

茂田)現代の科学技術で証明できる側面と、そうでない側面、ハーブの利用は両面から継承されているんですね。

若林)そうですね。こういった日本での需要と供給のバランスを考えた時、レッスンに際してはまず知識として、わかりやすい情報を大切にお伝えするというのがひとつあります。もちろん科学的な分析技術の進歩によって、昔から言われてきた秘密の部分が正確に明らかになってきてもいます。そういったことがプラスされると、また新たな現代の植物療法の像が見えてくるとも思っています。18世紀後半くらいからは、ドイツを中心としてコミッションEモノグラフ(薬用植物の評価委員会)というのがありまして、現代医療と伝承医療を比較して、ハーブの効力というものが、新しく開発する医療的なお薬と比較して、どう差異があるか、その効能がきちんと証明されるかを評価しようといったことが、ヨーロッパを中心に、アメリカでもなされているんです。そのようなシステムがすでに出来上がっている中で、やはりハーブには先進医学的な側面だけでない、食養生、つまり栄養分を吸収したことによる影響が評価されています。そうなると、ハーブの効能については身体のしくみとともに理解できたほうが、よりハーブの使い方が明確化しますよね。

茂田)ああ、身体のしくみとともに、というところはスキンケアを語る時においても欠かせないことで、同じですね。

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