第3回 体にたまった余分な熱を冷まし、元気をつける夏の薬膳ごはん

夏の薬膳の考え方

高温多湿な日本の夏は、蒸し暑さでイライラしたり、不眠、めまいや動悸、高熱、口渇、食欲不振などのトラブルを招きやすい季節です。中医学では、夏の邪気を「火邪(かじゃ)」または「暑邪(しょじゃ)」と呼びますが、強い日差しによって体にたまった余分な熱が原因で、大量の汗をかくと、気・血・津液のすべてを消耗し、夏バテやひどくなると熱中症などを引き起こします。暑さから起こるトラブルを防ぐためには、体にたまった余分な熱をクールダウンし、失った潤いやエネルギー(気)を食べ物で補うことが重要! 薬膳では汗をかきすぎると、元気の気も一緒に流れ出てしまうと考えるため収斂作用があり汗の出過ぎを防ぐ、酸味の食材をうまく取り入れることも有効です。一年のうちで一番、体力を消耗しやすい時期でもあるので、真夏の激しい運動等はなるべく控え、適度な休養を心がけましょう。

代表的な夏におすすめの食材
体にたまった余分な熱を取り除くとともに体に必要な潤いを補い、のどの渇きを解消します。
*トマト、きゅうり、ズッキーニ、冬瓜、なす、キウイ、すいか、豆腐、豚肉
体にたまった余分な熱を取り去り、解毒する働きがあります。
*ゴーヤ、きゅうり、緑豆
夏に弱りやすい胃腸の働きを助け、元気をつけます。
*長芋、とうもろこし、枝豆、かぼちゃ、米、たこ、あじ、かつお、桃
体にたまった余分な水分を排出し、むくみに有効です。
*なす、とうもろこし、冬瓜、きゅうり、ズッキーニ、苦瓜、枝豆、はと麦
* 夏は暑さから、ついつい冷たい食べ物や飲み物を欲するようになりますが、冷たい食べ物や飲み物の取り過ぎは胃腸の働きを弱めます。夏バテ防止の意味でも、氷の入った飲み物などは避けましょう。
recipe 夏の薬膳ごはん
今回のレシピの使用食材
車麩の豚肉巻きと夏野菜のどんぶり
材料(2人分)
  • 車麩 2個
  • 豚肉(バラ) 100g
  • トマト 1個
  • ズッキーニ 1/2個
  • バジルの葉 少々
  • レモン汁 少々
  • 塩 少々
  • 粗挽き黒こしょう 少々
  • 片栗粉 少々
  • ごはん 適量
  • ゴマ油 少々
  • 粒マスタード 少々
  •  
  • タレ)
  • しょうゆ 大さじ2と1/2
  • みりん 大さじ1
  • 酒大さじ1
  • 昆布かつおだし 1カップ
  • 生姜(すりおろし) 1片
  •  
  • きび砂糖 大さじ1/2
作り方
トマトはへたを切り落とし、4等分の輪切りにする。ズッキーニはへたを切り落とし、1cm幅の輪切りにする。
ゴマ油をしいて熱したフライパンで、1を両面焼き、塩こしょうをふって、いったん取り出す。
車麩をタレの材料を混ぜたなかに入れて戻したら、半分に切り、容器のなかでかるくタレをしぼっておく。
3に豚肉を巻いたら、表面に片栗粉をまぶし、ゴマ油をしいて熱したフライパンで両面こんがり焼き色をつける。
丼にごはんを盛り、2と4、粒マスタードをのせ、バジルの葉を飾る。
フライパンの油をキッチンペーパーでふきとり、余ったタレの材料ときび砂糖を加えて、かるく煮詰めたものを5にまわしかけ、仕上げにレモン汁をしぼる。
レシピは多めの分量なので、
小食の方は車麩と豚肉の分量を
半分にしても良いです。
モロヘイヤと長芋のスープ
材料(2人分)
  • モロヘイヤ 1束
  • 長芋 3cm
  • にんにく  1/2片
  •  
  • 昆布かつおだし 2カップ
  • オリーブオイル 大さじ1/2
  •  
  • A)
  • 薄口しょうゆ 小さじ2
  • 塩 少々
  • 粗挽き黒こしょう 少々
作り方
モロヘイヤは葉だけつんで洗い、みじん切りにする。
鍋ににんにくのみじん切りとオリーブオイルを入れて熱し、香りが出たら昆布かつおだしと1を加える。
2が温まったら、皮をむいてすりおろした長芋を加えてAで味をととのえる。
モロヘイヤと長芋のスープ 出来上がり!
鳥海明子さん
文章・レシピ製作 鳥海明子さん
国際薬膳師/調理師/フードコーディネーター。漢方相談薬局での薬膳レシピの考案や、助産院 で賄いとしてお母さんと赤ちゃんのためのごはんを作ってきた経験を活かし、現在は日々の暮らしのなかで実践できる養生の場として「鳥の巣」を主宰。著書に『ひとりごはんの薬膳レシピ』(誠文堂新光社)、『女性力を高める薬膳ごはん~心とからだを元気にする養生の知恵』(マイナビ)。
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