ベースメイクで使うものといえば、下地、ファンデーション、コンシーラー、パウダー、そしてブラシにパフなど。実際、これらをフルに使って作りこむのはプロのメイクアップアーティストくらいで、多くの女性が毎日の生活の中でもっともよく使うのは、下地にファンデーション、あるいは下地にパウダーとか、さっと塗って毛穴や色ムラを目立たなくするようなライトなベースメイクアイテム2、3品なのではないでしょうか。
その中でも、時々受ける質問が「下地って重要ですか?」というもの。なぜ、下地を使ったほうが良いのでしょう? 以下に下地の主な役割をまとめました。
1.のファンデーションの密着を高める。これは、もともと肌表面はキメの粗さや毛穴の開きによって微妙に凸凹しているので、下地で表面をなめらかに整えてあげると、後から塗るファンデーションがムラなくぴたっと密着してヨレににくくなる、ということ。ファンデーションは色をつけるために粉体の量などがどうしても多くなっているので、いきなり素肌にのせると開いた毛穴に入り込んでしまう、いわゆる“毛穴落ち”が起こりやすくなります。
“毛穴落ち”はファンデーションを塗った瞬間に起こることもあれば、少し時間が経ってから起こることもあります。下地で地ならしをするように表面を整えておけば、この“毛穴落ち”は起こりにくくなり、メイクが崩れるのも長時間防げます。メイクの崩れには2タイプあり、皮脂が浮きやすい春夏なら皮脂とファンデーションが混ざりあい崩れます。乾燥しやすい秋冬なら肌の乾燥が進むことで、パサつき感とともに白く粉うきするように崩れる、といった感じです。
しかし、プロのメイクアップアーティストは、朝5時に施したメイクを夕方まで持たせることができます。それはなぜかというと、実は使用するファンデーションの量が、みなさんが思っているよりも少なめだからです。ファンデーションの量が少ないと、きちんとカバーできないのでは? と思われる方も多いかもしれませんが、スキンケアの段階で油分や水分のバランスをその人の肌質に合わせて調整し、そして下地を塗って表面を整える、このメイクの基礎工事こそが崩れを防ぐのにとても大事なのです。もともと素肌のきれいな方なら、ここまでで肌づくりが完了してしまうことすらあります。
そして2.肌質をコントロールについて。下地は、ファンデーションを使いたくないという人にとっても利用価値の高いアイテムです。下地には肌をなめらかに整えるための保湿成分が含まれているもの、過剰な皮脂の分泌を防いでくれるもの、パール感や美容成分によってしわの影を飛ばしたり、目立たなく見せるものなどがあります。基本は保湿性の高いものを選ぶことをおすすめしますが、テカリが気になる時には皮脂の過剰な分泌を抑える皮脂コントロール下地を部分的に使うのも良いと思います。
3.光効果で毛穴の影をぼかす、については「ベースメイクをしている感じがしない透明感のある肌」を目指すすべての人にとって必須の効果です。先ほど説明したファンデーションの“毛穴落ち”は、毛穴を隠せていない上に“ファンデーションを塗ってます”感が強調されてしまう、とても残念な状態。光効果のある下地を使うと、薄く均一な膜を肌の上につくり、肌色がついた色素で覆って毛穴を隠すのではなく、光を強く反射するなどして開いた毛穴の影を飛ばすので、自然な明るさで肌をなめらかに見せることができます。
4.肌の色ムラのコントロールについて。これは一般的にはコントロールカラー下地と呼ばれていて、ピンク、イエロー、グリーン、ブルーやパープル、オレンジなどがあります。それぞれの色は、以下のような働きがあります。
日本女性の肌の多くは黄みの強いオークル系なので、ピンク・オレンジは相性が良く使いやすい色です。逆に、グリーンは使う範囲を少量に留めないと肌色がグレイッシュに濁って見えやすく、ブルーやパープルも顔全体に使ってしまうと白浮きしやすい色といえます。いろんなタイプの肌色ムラが顔の上で混在しているとしても、コントロールカラーを何色も使い分けてナチュラルに見せるのは、プロでもなかなか難しいテクニックです。やはりどんな肌色タイプにもおすすめできるのは、ごく淡い色がついていて、繊細なパールによる光効果のあるベーシックなタイプと思います。
顔を小さく、立体的に見せたい時にはよりパール感強めの下地を利用するのも手です。但し、ベーシックな下地とは役割が少し違うので、顔全体に伸ばしてしまうと強い白光感で膨張して見えてしまい逆効果に。目の下のクマや頬の色ムラなどが集中している顔の中央だけに伸ばし、おでこやエラなどを含めた顔をぐるりと囲むフェイスラインは塗らないようにしましょう。そうすると、顔のエッジは引っ込んで見え、鼻すじなどは前に出て見えるので、ぐっと立体的な顔立ちに見えます。