第5回までは、体のメカニズムに基づきながら足先からお顔まで、"巡りの良い体と美肌の関係性"の基礎的なところからお話してきました。第6回目からは、私が従事しているタイ式ボディワークの動きも、少しずつご紹介していきたいと思います。今回のテーマは、半袖や袖なしで過ごす季節になると「どうにかならないものかしら…」とついついつまんでしまう二の腕のお肉です。タイ式ボディワークのひとつ、ルーシーダットンのポーズをちょっとしたすき間時間に行っていくことで、この二の腕のたるみ感もじわじわと引き締めていけます。
その前に、まずは敵を知るべし! 二の腕のたぷたぷとしたたるみ感"脂肪"について少しお話しましょう。第2回の上半身ストレッチで効率良く健やか美人♪?で詳しく解説していますが、脂肪細胞には白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞、2種類あります。二の腕につきやすいのは、食事でとった余分なカロリーを中性脂肪というかたちで貯蓄する白色脂肪細胞です。二の腕の筋肉を動かす頻度が少ないと、どんどんこの白色脂肪細胞がつきやすくなります。また、代謝が悪く水太りしやすい場合は、停滞している水分中の老廃物などが脂肪細胞に絡み付き、肌表面を凸凹とさせるセルライトもできやすくなります。
一方で、脇の下や肩まわりには体内に蓄積された余分なカロリーをエネルギーに変える褐色脂肪細胞が存在しています。 二の腕のたるみ感を防ぐには、筋肉を動かしながらこの「燃やす」働きを持った褐色脂肪細胞を併せて活性化することも、ぜひ頭の隅に入れておきたいですね。そして、脂肪がエネルギーに変換された後は必ず乳酸などの老廃物が生じるので、それらを速やかに排出できるよう上半身のリンパの流れを促しておくことも大切。リンパの流れが良くなると、顔の血色、透明感も変わってきます。
脇の下には大きな老廃物のゴミ箱ともいえるリンパ節があるので、筋肉トレーニングを行う前に、以下のような脇から腕にかけてのストレッチを行うことは、引き締まった二の腕づくりはもちろん、くすまない肌づくりという点からも大きな意義があるといえます。
ストレッチによって褐色脂肪細胞の活性とリンパの巡りを高める下地が整ったら、いよいよルーシーダットンのポーズです。ルーシーダットンはタイ式のヨガともいわれていますが、正確にはタイの修行僧の自己整体法といわれています。シンプルな動きの中に、ストレッチ、筋トレ、ツボ刺激、呼吸法などが備わっている効率的なボディワークです。
今回紹介するポーズは、あぐらもしくは椅子に座った状態ですぐ行えるポーズ。ルーシーダットンのポーズは柔軟性を問うポーズが少なく、自分なりに強度を設定して行えるため関節を痛めることなく筋肉トレーニングができます。また脇腹のお肉をしぼる今回のポーズは、美しいウエストのくびれをつくるのにも役立ちます。